「秋麗」創刊にあたって
- 中村草田男から鍵和田秞子へと受け継がれてきた俳句の詩精神を継承し、さらに多くの人たちと分かち合うために、「秋麗」を創刊することにいたしました。
- 中村草田男は自らを「伝統の本質的な必然性の上にたちつつ、時代の煩苦に直面して生きてゆく者である」と記しました。鍵和田秞子は「俳句は抒情詩の一つとして、作者の生(レーベン)の実感を、自分自身のことばで、生き生きと表現すべき」と述べています。
- 草田男の姿勢に学び、秞子の「生の実感」を中心に据えて、私たちは「まぎれもない己がある句」を希求したいと思います。
- 有季定型の俳句は日本人が長い歳月をかけて育ててきた日常の詩です。自然を愛し、人生で出会う人々を愛し、その感動をことばに紡ぐとき、生きてゆく力を得ることができます。ことばにはいのちを支える力があります。森羅万象の中で、人間が人間らしく生きるための礎として、私たちは俳句を詠みつづけたいと念じます。
- 2009年10月 藤田直子