
主宰からのお便り~丘の上から
- 第八回 「丘の上から」
- 10月の末、「秋麗」のメンバーで筑波山に吟行しました。と
- 言っても、登山をしたのではなく、つくばエクスプレスの「つく
- ば」駅からバスに乗って山麓に行き、ケーブルカーで女体山の山
- 頂に近いところの平地(御幸ヶ原)まで行ったというわけです。
- 登った先で関東平野を見渡すはずでしたが、当日は霧が出てい
- たため、見晴らしはよくありませんでした。でも、「男女川(み
- なのがわ)」の源流を確かめ、源流近くの樹齢800年の「紫峰
- 杉」のおどけたような姿を眺めました。下山してからは筑波山神
- 社に参拝。筑波神社の境内には「厄除け石」が設置されてありま
- す。社務所で「厄割り石」を買って厄除け石にぶつけて割ると、
- 厄が払われるというのです。さっそくやってみました。
- また、当地の小さい「福来(ふくれ)みかん」もあちこちに生
- っていました。その皮が入った唐辛子も購入。嘗ての参道「つく
- ば道」も少し歩いて、往時の人々の参詣を偲びました。
- 夜はホテルで句会と懇親会。翌日は国際会議場で句会。解散後
- はJAXAで、ロケットや宇宙船や宇宙食のお話を拝聴。過去と
- 未来を同時に味わうことのできた旅でした。(藤田直子)
- 第七回 「丘の上から」
- 俳人協会の島根県支部の大会に出るため、出雲に行ってきまし
- た。その機会に、NHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」のゆか
- りの地、松江に行ってきました。国宝の松江城に上り、お濠を巡
- る舟に乗り、小泉八雲記念館や旧居を見学して、小泉八雲と妻の
- 生涯を知ることができました。宿泊したのは宍道湖から中海へつ
- ながる大橋川のほとりの「大橋館」です。ここは小泉八雲が松江
- に来て初めて宿泊した富田家を継承した旅館だそうです。
- ちょうど私が訪れた前日に、大橋館の玄関脇に「小泉八雲の石
- 碑」が建てられ、話題になっていました。八雲が本を持って欄干
- に寄り添っている姿でした。これから12月までに市内のあちこ
- ちに、いろいろな姿の八雲像が建てられるとのことです。
- 松江を訪れたのは3回目ですが、宍道湖の湖畔やお城の周辺の
- 街並が美しいことに、改めて感動しました。旅館では毎食、蜆汁
- が出されました。(藤田直子)
略歴
●藤田直子(ふじた なおこ)
- 1950年 昭和25年2月5日 東京都三鷹市生まれ
- 1972年 立教大学文学部英米文学科卒業
- 1980年 作句開始
- 1982年 鍵和田秞子に師事
- 1984年 「未来図」創刊時に入会
- 1988年 未来図新人賞受賞
- 1989年 「未来図」同人
- 1990年~2000年 「未来図」編集担当、看護専門学校英語講師
- 1997年 第1句集『極楽鳥花』(ふらんす堂)刊行
- 2003年 未来図賞受賞
- 2006年 第2句集『秋麗』(富士見書房)刊行
- 2008年 『鑑賞女性俳句の世界 2巻』(共著)刊行
- 2009年 「秋麗」創刊
- 2014年 第3句集『麗日』(本阿弥書店)刊行
- 2018年 自註 現代俳句シリーズ・12期34
- 『藤田直子集』(俳人協会)刊行
- 2020年 評論 『鍵和田秞子の百句』(ふらんす堂)刊行
- 現在 「秋麗」主宰
- 俳人協会評議員
- 国際俳句協会会員
- 日本文藝家協会会員
- NHK文化センター青山 講師
- NHK文化センター千葉 講師